字幕をAnkiに入れるとき、最初にやるのはインポートではありません。 「この字幕、来週も復習したい?」を先に判定し、残すものだけを一枚一ターゲットのカードにします。
一話から80枚作れるのは技術的にはすごい。でも翌週80枚全部に追いかけられると、学習というより字幕の借金です。カード作成のいちばん大事なボタンは、たぶん「追加しない」です。
手順は KEEP → CONTEXT → CUE → ANSWER → TAG。一括インポートは最後です。
Step 1 — KEEP:その字幕はカードにする価値がある?
全部NOなら、基本はスキップでOKです。1つYESなら「本当に必要?」ともう一度考える。2つ以上YESならカード候補。これは科学的スコアではなく、カード地獄を防ぐための実用ルールです。
面白い悪口や一回きりのジョークは?
理解したいだけなら、認識だけで十分なことが多いです。「面白い」と「毎週復習する価値がある」は別です。
Step 2 — CONTEXT:字幕一行だけで意味が戻るようにする
カードには、ターゲットがなぜその意味になるか分かる最小限の文脈を残します。ドラマなら「誰が誰に、何のために言ったか」を一行メモするだけでも十分です。
逆に、前後20行を貼るとカードが小説になります。復習時に必要なのは場面の再上映ではなく、ターゲットの意味を思い出す手がかりです。
Step 3 — CUE:表面で答えを見せない
Ankiは「見れば分かる」を確認するより、「見えない答えを思い出す」形にしたほうがカードの仕事が明確です。
たとえば覚えたい表現が I was hoping we could... なら、表面に英文全部を出して「意味は?」とするだけでなく、こんな手がかりにできます。
- 「希望・お願いをやわらかく切り出す英語:I ___ ___ we could...」
- 場面メモ:「同僚に明日の予定変更を遠回しにお願いする」
一枚で語彙・文法・発音・文化解説を全部テストしないこと。一枚一仕事にします。
Step 4 — ANSWER:裏面は短く、でも使える形に
裏面の基本セットはこれで十分です。
- ターゲット:I was hoping we could...
- 短い自然な例:I was hoping we could move the meeting.
- 意味・機能:お願いや希望を少しやわらかく切り出す
- 必要ならレジスター:neutral / polite
日本語訳は入れても構いません。ただし「訳を見て安心する」だけのカードにしないこと。最終的に英語の形か意味を自分で取り出せるように設計します。
Step 5 — TAG:あとで探せる程度に分類する
タグは復習そのものではなく整理用です。増やしすぎるとタグの管理が第二の趣味になります。
例:friends / s01e04 / request / informal。作品名、エピソード、会話機能など、自分が後で検索しそうな軸だけで十分です。
音声や画像は必須?
必須ではありません。音を覚えたい表現なら短い音声が価値を足すことがあります。視覚的な場面が意味を強く支えるなら画像も役立ちます。ただし、カード作成のためにコンテンツ保護を回避したり、権利のない素材を取得・再配布したりする方法はこのガイドでは扱いません。
Ankiの公式マニュアルでは、エディタから追加したメディアはAnkiのメディアコレクションにコピーされ、ノートから参照できます。詳しくは Anki Manual: Media を確認してください。
カードが多いなら、最後に一括インポートする
品質の良いカード候補がまとまった後なら、一括インポートは便利です。Ankiの現行公式マニュアルでは、テキストファイルを File > Import から取り込み、フィールドを区切ったテキストをノートの各フィールドへ対応させられます。テキストファイルはUTF-8で、カンマ、セミコロン、タブなどの区切りを扱えます。
公式手順は Importing と Text Files にあります。
たとえば自分で用意した表を、cue / answer / context / tags のように分けてからインポートすれば、作業は速くできます。ただし速く入れられることと、良いカードであることは別です。ゴミ収集も自動化すれば高速になります。
カード例:悪い設計 → 良い設計
| 表面 | 裏面 | 問題 |
|---|---|---|
| 完全な英語字幕 | 日本語訳 | 英語が表面に見えているので、英語表現を想起するテストにならない |
| 「やわらかくお願いを切り出す:I ___ ___ we could...」 | I was hoping we could... + 短い例 | ターゲットを自分で思い出す必要がある |
もちろん、目的が「英文を見て意味を理解する認識カード」なら最初の形式も成立します。悪いのは形式そのものではなく、何をテストしたいかとカードがズレていることです。
英語メモを書くときの小さな注意
I made a card from this subtitle. はgrammatically validで自然です。一枚の字幕・字幕行を元にカードを作った意味で使えます。
I put this word to Anki. は意味は推測できますがunusual / non-idiomatic。自然には I added this word to Anki. と言います。
I saved it for review. も自然で、「後で復習するために保存した」という意味です。
最後に10枚だけ監査する
カードは作って終わりではありません。10枚レビューして、次を見ます。
毎回、問題文を読んだ瞬間に答えが見えている
CUEを作り直します。ターゲットを隠し、意味・機能・穴埋めなどで想起させます。
何度見ても「なぜ保存した?」となる
削除・一時停止の候補です。過去の自分に義理を立てる必要はありません。
一枚に答えが3つ以上ある
ターゲットを一つに絞るか、カードを分けます。
FunFluenで字幕を保存している場合
すでにFunFluenで保存済みアイテムを使っているなら、まず同じKEEP基準で整理してから外部レビューへ持ち出すのが安全です。エクスポートできる内容や形式は、アカウント・プラン・保存済みデータなどの状態に依存します。また、エクスポートは字幕の正確性や再利用権を保証するものではありません。
FunFluen拡張機能をChrome Web Storeで確認する
ほかの映像ベース学習法は FunFluen 日本語 にあります。
結論:字幕を集めるより、未来の自分が答えられるカードを作る
字幕からAnkiカードを作る順番は、KEEP → CONTEXT → CUE → ANSWER → TAG。インポートは最後です。
カード数が少なくても、場面が戻り、ターゲットが一つで、答えを自分から取り出せるなら、そのカードはちゃんと仕事をしています。AnkiをNetflixの倉庫にする必要はありません。