英語のTH音を聞き分けて発音する練習
英語のTHを/θ/と/ð/に分け、舌・気流・声の3ポイントで診断。S/Zとの聞き分け、録音、意味のあるフレーズ、会話への移し方まで練習できます。
THは「舌を出す」だけではなく、歯付近の狭い通路で連続した摩擦を作り、/ð/ではそこに声帯の振動を加えると、/θ/と/ð/を切り替えやすくなります。
鏡を見る。舌は出ている。よし、TH。録音する。think が /s/ 寄りになって sink に近く聞こえる。THの厄介さは「舌を出したか」だけでは判定できないことです。見るのは舌・空気・声の3つ。
このページでは FEEL → HEAR → SWITCH → RECORD → DIALOGUE の順に進みます。舌の写真を覚えるのではなく、出したい音を自分で診断できる状態を作ります。
最初の「3ノブ診断」:舌・空気・声のどこが崩れている?
まず単語を増やす前に、THを3つに分解します。これは採点ではなく、次の練習を選ぶためのチェックです。
舌のチェックが外れた人
舌先を上の前歯のすぐ裏、または軽く歯の間へ近づけます。舌を必要以上にベーッと出す必要はありません。まず「/s/より前で摩擦を作る」感覚を探します。
空気のチェックが外れた人
/t/のように一度完全に閉じて破裂させず、細い通路から息を流し続けます。最初だけ少し長く摩擦を保ち、できたら通常の短さへ戻してください。長いTHは練習用の補助輪で、普通の会話で毎回引き伸ばすものではありません。
声のチェックが外れた人
同じ舌位置をなるべく保ったまま、喉の振動をOFF→ONと切り替えます。/θ/から/ð/へ移るとき、主役は「舌を別の場所へ大移動」ではなく、まず声の追加です。
FEEL:/θ/ は「息を止めない」TH
British Council のTH指導資料では、/θ/の実用的な手掛かりとして、舌先を上の前歯の後ろ付近に置き、必要なら少し見える位置まで出して練習する方法が紹介されています。
大事なのは舌の見た目より細い摩擦が続くことです。まず音だけで、息を「止めて放す」のではなく「狭いところから流す」感覚を作ります。
- think:最初のTHで声帯は振動させない。
- three things:一つ目のTHができても、二つ目で舌が奥へ逃げないか確認する。
- I think the third one is better.:単語だけでなく、文の中でTHを短く自然に保つ。
練習の最初だけ摩擦を少し長めにすると、/t/や/s/との違いを身体で確認しやすくなります。ただし最終目標は「THを大げさに引き伸ばすこと」ではなく、普通の会話速度で必要な摩擦を一瞬で作ることです。
FEEL:/ð/ は似た摩擦に「声」を足す
Pronuncian の /θ/・/ð/ 解説では、二つのTHを近い口の構えを持つ連続摩擦音として扱い、主要な違いの一つを voicing(声帯振動)として説明しています。英語の話者やアクセントには調音の幅があるので、「舌は必ずこのミリ位置」という一つの形に固定しすぎない方が安全です。
喉に指を軽く当てて、まず /θ/ のつもりで無声音を作り、そのまま声を加えて /ð/ へ切り替えます。振動がONになれば、3つのノブのうち「声」が変わったことを感じやすくなります。
- this one
- that one
- the other one
会話では /ð/ が短く弱くなることもありますが、最初の練習では「舌・摩擦・声」の区別が崩れない速度から始めます。
SWITCH:S/TH と Z/THで「どこへ戻ったか」を診断する
日本語学習者を扱った研究では、英語の歯間摩擦音が /s/ や /z/ 系の歯茎摩擦音へ置き換わる例が報告されています。ただし、日本語学習者の歯間摩擦音代用を調べた研究や/θ/産出の小規模研究が示すように、パターンは音環境や個人によって変わります。「日本語話者は必ずSになる」という診断ではありません。
| 狙う音 | 舌の目安 | 空気 | 声 | 練習例 |
|---|---|---|---|---|
| /θ/ | 歯付近・/s/より前 | 連続摩擦 | なし | think ↔ sink、thin ↔ sin |
| /ð/ | 歯付近・/z/より前 | 連続摩擦 | あり | breathe ↔ breeze |
think と sink はどちらも正しい英単語です。 「think のつもりなのに /s/ 寄りになり、聞き手に sink と取られる可能性がある」という意味で比較します。sin と thin、breathe と breeze も同様で、元の単語が文法的に間違いなのではなく、別の単語として成立しています。
/z/→/ð/の身体スイッチも試せます。まず /z/ を短く出し、声はそのまま、舌の摩擦位置を歯の方へ前進させます。ここで「声を切らずに場所だけ前へ」ができれば、/ð/への道筋が見えやすくなります。
HEAR:答えを見てから聞くと、耳の練習になりにくい
このページにはネイティブ音声を装った偽の再生ボタンは置きません。聞き分けは、信頼できる辞書音声、発音教材、先生、または正確にモデルできるパートナーを使って行います。
- 読み手が二つの候補から一つを選ぶ。
- 学習者は文字を見ずに一度聞く。
- 先に「TH側 / S・Z側」を答える。
- その後で文字を確認する。
- 間違えたら、同じ対比をもう一度。単語を20個追加する前に、その1組で何が聞こえなかったかを確認する。
無声なら think / sink や thin / sin。有声なら breathe / breeze のように、実在する別語で最初の判定を作れます。文字を先に見ないのがポイントです。
RECORD:「I think this is better.」で3ノブを一度に確認する
録音するとき、アクセント全体を採点しないでください。一つの文で /θ/ と /ð/ だけを見ます。
- まずゆっくり録音する。
- 次に普通の会話速度に近づけてもう一度録音する。
- 二本を聞き、/θ/ と /ð/ の区別だけを判定する。
- 崩れたノブだけ直して一回再録する。
0 = どちらもS/Z系に寄って区別しにくい、1 = 区別はあるが一方が不安定、2 = /θ/と/ð/の違いが保てる、くらいの粗い自己採点で十分です。これは「ネイティブ度」ではありません。
DIALOGUE:THを単語リストから会話へ連れ出す
THだけ完璧でも、話すたびに舌の位置で5秒停止したら会話は進みません。次は意味を持つ短いやり取りに入れます。
選択肢を比べる
A: Which one do you prefer?
B: I think the third one is better.
A: This one?
B: Yes, this one. Thanks.
一回目はTHだけ確認。二回目は相手に本当に選択を伝えるつもりで言います。二回目まで舌の図を頭に表示し続けないこと。
予定を確認する
A: Are you free on Thursday?
B: I think so. Let me check.
もし Thursday を聞き返されたら、同じ単語を大声で連射する以外にも方法があります。たとえば “Thursday — T-H-U-R-S-D-A-Y.” と綴る、または “I mean Thursday, not Tuesday.” と意味を足して修復できます。聞き返しの原因が必ずTHとは限らないので、会話では修復できることの方が重要です。
実際の一行で、THを「聞く→言う」へ移す
コントロール練習で3ノブが動くようになったら、実際の英語の一行へ移します。字幕と元音声がある対応コンテンツでは、FunFluenで一行を繰り返し、まず Listening で聞き、必要なら少し速度を落とし、意味を確認してから Speaking へ移す流れを作れます。
- THが一つ以上入る短い一行を選ぶ。
- 字幕を読む前に一度聞き、/θ/か/ð/かを予測する。
- 字幕と意味を確認して同じ一行を繰り返す。
- 最後に、舌・空気・声の3ノブを保ったまま自分でも言う。
実際の一行でTHを聞く→言う練習へ。リンク先ではまず一般的な英語スピーキング練習のパスを選びます。TH専用課題が自動で開くわけではなく、FunFluenがTHを自動採点するという意味でもありません。
今日の1文チャレンジ
I think this is better.
一度ゆっくり、一度普通に録音します。聞き返すときは、think の /θ/ と this の /ð/ だけを見る。アクセント全体を審査会にかけない。崩れた方のノブだけ直して、最後にもう一回。
まとめ:THは「舌を出す」ではなく、3ノブを切り替える
THを安定させるとき、鏡だけでは足りません。舌は歯付近にあるか。空気は止まらず摩擦になっているか。/ð/では声が入っているか。3つを分ければ、「なんとなくTHが苦手」という大きな悩みが、直せる小さな故障に変わります。
FEELで身体を作り、HEARで文字なしに聞き、SWITCHでS/Zとの差を確認し、RECORDで自分の音を見て、DIALOGUEで会話へ出す。舌の写真を完成させることではなく、必要な瞬間に音を選び、崩れたら自分で戻せることがゴールです。