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日本語話者の英語VとB:唇と歯の使い方の違い

英語のVとBが同じ音になってしまう日本語話者向けに、上前歯+下唇のVと両唇を閉じるBの違いを、気流・摩擦・聞き分け・フレーズ練習で体感できるよう解説します。

The short answer

V と B はどちらも通常は声を使いますが、作り方は別物です。 V /v/ は上の前歯と下唇の間に小さなすき間を残して摩擦を流し続け、B /b/ は上下の唇で空気を完全に止めてから開放します。

very を丁寧に言ったのに berry と聞き返されたら、喉をもっと鳴らす前に「息が止まったか、流れ続けたか」を確認してください。V を出すために下唇を人質に取る必要はありません。噛まずに、軽く触れて、すき間を残します。

最初に10秒だけ試しましょう。「vvvvv」は摩擦音として伸ばせる。一方 /b/ は、唇を閉じて release する stop なので、/v/ のような連続摩擦としては伸ばしません。 ここが、このページの合言葉です。V は FLOW、B は BLOCK → RELEASE。

まず「声」ではなく、STOP/FLOWを聞く

英語の子音は、どこで作るか、どう空気を動かすか、声帯が振動するか、という複数の軸で説明できます。Iowa State University の英語発音教材では /b/ を有声・両唇・stop、/v/ を有声・唇歯・fricative と分類しています。つまり、V/B で最初に見るべき違いは「有声か無声か」ではありません。どちらも voiced です。違うのは接触場所と、空気を完全に止めるか、狭いすき間で摩擦を続けるかです。

Iowa State University の子音分類Cambridge の IPA 子音表でも、この2音は別の場所・別の方法に置かれています。

先に発音してから答えを見る:1秒テスト

/v/: 上前歯を下唇に軽く触れさせ、完全には閉じず、声を出しながら vvvvv と続けます。細い摩擦が続けばOKです。

/b/: 上下の唇を完全に閉じ、空気を一度せき止めてから開きます。/b/ は stop なので、/v/ と同じ方法で一つの摩擦音として伸ばすのが目的ではありません。

もし intended /v/ で上下の唇が完全に閉じたら、すでに B 側へ寄っています。逆に intended /b/ で空気がずっと漏れるなら、閉鎖が足りません。

TOUCH:V は「上前歯+下唇」、B は「唇+唇」

V /v/ はvoiced labiodental fricative(有声唇歯摩擦音)です。labiodental は「唇+歯」。下唇の内側寄りに上の前歯が軽く触れます。大事なのは、噛むことではなく、空気が通れる細い通路を残すことです。

B /b/ はvoiced bilabial stop(有声両唇破裂音・閉鎖音)。bilabial は「両方の唇」。上唇と下唇がいったん完全に閉じます。歯は主役ではありません。

鏡では「V のときに上前歯と下唇が近いか」「B のときに両唇が閉じるか」を見ます。ただし、鏡が合格を出しても耳は別部署です。次は airflow を確認します。

BLOCK/FLOW:薄い紙か手のひらで、空気の違いを確認する

口の少し前に手のひらか薄い紙を置いてください。強く吹く必要はありません。

  • V: vvvvv と続ける間、細い気流と摩擦が続く。歯と下唇の間は完全には閉じない。
  • B: 唇を閉じている間は口からの気流が止まり、唇を開いた瞬間に release が起こる。

ここで「もっと息を強く」が目標ではありません。必要なのは流れ方の種類です。V は流れを細く保つ。B は一度ブロックする。

日本語話者にとってV/Bがややこしい理由は、単純な「Vがない」だけではない

Japanese learners of English の /v/–/b/–/p/ を対象にした査読研究では、labial / labiodental の視覚・聴覚上の対立そのものが学習対象として調べられています。つまり V/B は、日本語話者にとって実際に研究されてきた難所です。ただし、ここから「日本語話者は全員 V を B にする」とは言えません。個人差も、語も、学習歴もあります。Japanese learners の /v/–/b/–/p/ 知覚・産出を扱った研究

さらに、日本語側も「V は存在しないので全部バ行」という一行では片づきません。国立国語研究所は、外来音をより原音に近く表す仮名としてヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォを挙げ、外来音の定着には語や話者による揺れがあると説明しています。国立国語研究所「外来語の表記」解説

大学生を対象にした別の調査でも、既にバ行で定着した外来語がある一方、[b] と [v] の入れ替わりが観察されています。これは英語の正解をカタカナで決める材料ではなく、日本語への取り込み方と英語のターゲット音を分けて考えるべきだという材料です。Japanese university students の [v] 発音調査

SUBSTITUTE TEST:わざとBにして、何が変わったかをつかむ

エラーを避けようとするだけだと、自分が何を変えたのか分かりません。ここでは、あえて substitute(代用音)を作ります。

Original practice example

very → berry → very

最初の very では上前歯+下唇の狭いすき間で /v/ の摩擦を続けます。次は意図的に両唇を閉じて /b/ にし、最後に /v/ へ戻します。違いは「声の有無」ではなく、FLOW と完全閉鎖です。

会話で very が berry に寄るとき、自分の唇が一瞬でも完全閉鎖していないかを特定できます。

very = とても / berry = ベリー類の実

文字を見ずに3回交互に言い、/v/ のときだけ摩擦が連続しているか確認してください。

FunFluen 日本語.

Original practice example

vest → best → vest

/v/ では唇を閉じ切らず、/b/ では完全閉鎖してから release。次の /ɛ/ 母音に入る瞬間まで、最初の子音の違いを保ちます。

単独の vvvvv はできるのに、母音が続くと B に戻るタイプの崩れを見つけられます。

vest = ベスト(衣服) / best = 最良の

最初はゆっくり、次に通常速度で。速くしても V で両唇を閉じないこと。

単語の途中でも、摩擦を消さない

語頭だけでなく、母音にはさまれた V でも同じルールです。形を派手にする必要はありません。短くても、完全閉鎖ではなく摩擦の通路があることが重要です。

Original practice example

I have seven vivid photos.

have, seven, vivid の V で「歯+下唇 → 狭い摩擦」を小さく素早く作ります。大げさに下唇を噛むと、むしろフレーズが途切れやすくなります。

V が複数回出る文章でも、一回ずつ巨大な口形を作らずに同じ FLOW を再現する練習です。

「鮮やかな写真を7枚持っています。」

V だけを少しゆっくり、その後フレーズ全体を自然な速さに戻してください。

Original practice example

Ben bought a blue van.

Ben, bought, blue の B は両唇の完全閉鎖→release。van だけは上前歯+下唇の摩擦。1文の中で BLOCK と FLOW を切り替えます。

B と V を別々に練習する段階から、同じ短文で瞬時に切り替える段階へ進めます。

「ベンは青いバンを買いました。」

最初に B のたびに両唇の閉鎖を感じ、van では閉鎖しないことを確認してください。

フレーズで崩れるなら、TOUCH → FLOW を先に置く

たとえば very busy。忙しいのは単語の意味だけではありません。口も V から B へすぐ切り替わります。

Original practice example

It was a very busy evening.

very の /v/ では FLOW、busy の /b/ では BLOCK→RELEASE。二つを隣接する別カテゴリーとして保ちます。

実際の会話で V と B が同じ「バ行っぽい動き」に吸い込まれるのを防ぐ練習です。

「とても忙しい夕方でした。」

very だけ、busy だけ、very busy、全文の順に広げてください。

手で直せたら、反復で「フレーズの中のV」にする

ここまでで V/B を自力で作り分けられるなら、次の課題は「分かっている口の動きを、実際の音声の速さでも保つ」ことです。短い台詞を一行ずつ繰り返し、聞く→言うを何度も回すと、孤立音ではなくフレーズの中で練習できます。

短い英語を繰り返し聞いて、V/B の動きをフレーズの中で言い直す練習に使える FunFluen 拡張機能を確認する

FunFluen は対応する動画・字幕・音声がある場面で反復やスピーキング練習を支えるための道具です。このページの例が自動で開くわけではなく、発音を採点する機能として紹介しているわけでもありません。

最後は「自分にはVに聞こえる」ではなく、相手が何と書いたか

録音するときは、相手に単語を見せないでください。次のような自作ペアからランダムに一つを言い、相手には聞こえた単語だけを書いてもらいます。

  • vote / boat
  • vest / best
  • very / berry

間違われたら「もっとVっぽく」と曖昧に直さず、戻る場所は二つだけです。V で両唇を閉じていないか。B で閉鎖せず空気を漏らしていないか。 そこを直して、同じ語をもう一度録音します。

V/Bの10秒セルフチェック

V: 上前歯+下唇。噛まない。完全閉鎖しない。摩擦を流せる。
B: 唇+唇。完全閉鎖する。そこで空気を止め、開いて release する。
共通: どちらも通常は voiced。だから V/B の主役は「喉を鳴らすか」ではなく、FLOW か BLOCK→RELEASE かです。

very が berry に戻ったら、才能の問題にしないでください。まず唇を観察する。次に気流を観察する。最後に相手の耳で確認する。静止画の「正しい顔」を覚えるより、この3つのチェックの方が、自分で修理できます。

参考にした資料